伊藤元己・井鷺裕司 / A5判 / 176ページ
ISBN 978-4-8299-6530-6 2018年6月14日発売
定価3,080円(本体2,800円+10%税)
21世紀に入ってから出版された図鑑に採用され、熱心な野生植物ファンをまどわせている「APG分類体系」っていったい何? なぜこんなことになったのか、どんなふうに変わったのか? 分類学、系統学の専門家がすっきり解説。巻末には便利な新旧対照表を収録。
APG = Angiosperm Phylogeny Group = 被子植物系統グループ/被子植物系統作成グループ
この分類を実行する植物学者の団体である。この分類は特に命名されておらず、「APG体系」や「APG分類体系」などと呼ばれる。
『新しい植物分類体系』第1刷正誤表のお知らせ ‼️NEW‼️
目次
第一章 植物図鑑の配列が変わった!
生物の分類
分類体系とは
自然分類という考え方
系統と系統樹
最も原始的な被子植物は何か?
APG 分類体系による系統樹
第二章 APG分類体系で変わった!被子植物の科
科の配列
いま持っている図鑑は使えなくなるのか
内容が大きく変わる科
・ゴマノハグサ科とその周辺の科
・広義のユキノシタ科
・スイカズラ科とレンプクソウ科
・広義のユリ科
統合されて消える科──なじみのある科名がなくなる
・シキミ科(マツブサ科へ)
・イイギリ科(ヤナギ科へ、一部はアカリア科へ)
・アカザ科(ヒユ科へ)
・ハマザクロ科・ヒシ科(ミソハギ科へ)
・カエデ科・トチノキ科(ムクロジ科へ)
・イチヤクソウ科・シャクジョウソウ科・ガンコウラン科(ツツジ科へ)
・ヤブコウジ科(サクラソウ科へ)
・ガガイモ科(キョウチクトウ科へ)
・シナノキ科、アオギリ科(アオイ科へ)
・イトクズモ科(ヒルムシロ科へ)
・ミクリ科(ガマ科へ)
・シラネアオイ科
分割される科──新たな科の登場
・ジュンサイ科とスイレン科
・トウダイグサ科とミカンソウ科
・ツバキ科とサカキ科
・ラフレシア科とヤッコソウ科
・スベリヒユ科とヌマハコベ科
科の範囲が再定義される科
・アサ科とニレ科
・ビャクダン科・ヤドリギ科・オオバヤドリギ科
・ミズキ科・ウリノキ科
・シソ科・キツネノマゴ科・クマツヅラ科
・セリ科とウコギ科
・ショウブ科とサトイモ科・ウキクサ科
第三章 APG 分類体系の目で見る植物進化
「目」という分類階級
単子葉植物の目
・ラン目が消えた!
・呉越同舟のタコノキ目
・イネ目の拡大
真正双子葉植物の目
・それほど古くなかったヤマグルマとカツラ
・ケシ目の消滅
・意外なハスの仲間、ヤマモガシ目
中核真正双子葉植物の目
・ユキノシタ目の新メンバー
・地味なメンバーに入れ替わったバラ目
・適応放散の見本市、キントラノオ目
- キントラノオ目に見る適応放散1 ヤナギの風媒化
- キントラノオ目に見る適応放散2 カワゴケソウの仲間は?
- キントラノオ目に見る適応放散3 ラフレシアの正体
・バラ目からセリ目に大移動したトベラ科
・意外なグループを含むヤマノイモ目
第四章 APG 系統樹を使ってみよう
・実は重要だった花粉の穴の数
・木と草と
・一億年前に試みられた精油による食害回避
・窒素固定は一つの根本的進化から始まった
・五個の目で独立に進化した食虫性
・ナデシコ目の食虫性──方針の後に方法が決まる!
・訪花昆虫と縁を切ったブナ目
・風媒の王・イネ目
・目の関係とは?
付 録:APG 分類体系と新エングラー分類体系の科の対照表